頭皮には脂性肌や乾燥肌がある

頭皮は、皮脂と水分のバランスによって、主に以下のタイプに分けられます。それぞれの特徴は次のとおりです。

肌タイプ

特徴

普通肌

・皮脂と水分のバランスが良く、安定している
・フケやかゆみなどの頭皮トラブルが少ない

脂性肌

・毎日シャンプーをしても、頭皮や髪の毛のベタつきが気になる
・男性に多い傾向がある

乾燥肌

・外部刺激に敏感で、かゆみや炎症を起こしやすい
・女性に多い傾向がある

特に注意が必要なのが、脂性肌です。頭皮や髪の毛がベタつくと清潔感を損なうだけでなく、頭皮トラブルのリスクも高めます。

また、ベタつきを解消しようと洗浄力の強いシャンプーを使い過ぎると、頭皮を乾燥させてしまいます。その結果、乾燥から頭皮を守ろうと皮脂が過剰に分泌されるケースも少なくありません。

頭皮タイプのセルフチェック法

頭皮や髪の毛のトラブルは、多くの場合肌の乾燥や過剰な皮脂の分泌によって引き起こされます。以下の手順で自分の肌タイプを知っておきましょう。

1. シャンプーで頭を洗い、頭皮をしっかり乾燥させる
2. 20~30分程度リラックスしながら待つ
3. あぶらとり紙で頭頂部を触り、頭皮の状態を確認する

チェックの結果、30分程度であぶらとり紙に皮脂がつくなら脂性肌、1時間程度で皮脂がつく場合は普通肌の可能性が高いといえます。一方、2時間程度経過しても皮脂がほとんどつかない場合は乾燥肌と考えられます。

ただし、乾燥が皮脂の過剰分泌を招いているケースもあるため、セルフチェックで頭皮の状態がよく分からない場合は、薄毛治療専門クリニックなどで相談してみるのもおすすめです。

頭皮の脂性肌に関わる症状

頭皮が脂っこいと、肌や髪の毛がベタついて不潔な印象を与えるだけでなく、以下のようなトラブルを引き起こすリスクが高くなります。

・フケ
・かゆみ
・ニオイ
・ベタつき

フケ

フケは、頭皮から剥がれ落ちた垢のようなもので、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)によって生じる頭皮の老廃物のことです。フケは、大きく分けて脂性フケと乾性フケに分類されます。特に脂性肌の方は、皮脂の過剰分泌が原因とされる脂性フケが増える傾向にあります。

脂性フケを増やさないためには、皮脂を取り過ぎないようにシャンプーしたり、脂っこい食事を控えたりすることが大切です

かゆみ

頭皮の皮脂が増え過ぎると、以下のような過程でかゆみが生じることがあります。

主な原因

説明

雑菌の繁殖

・皮脂を栄養源として増えた雑菌が遊離脂肪酸を生成する
・生成された遊離脂肪酸が頭皮に刺激を与えてかゆみを引き起こす

皮脂の酸化

・分泌された皮脂が長時間頭皮に残ると酸化が進み、頭皮にとって刺激となる物質に変化する
・酸化した皮脂が頭皮にダメージを与え、かゆみを引き起こす

かゆみが続く場合は脂漏性皮膚炎などの病気の可能性もあるため、早めに皮膚科を受診してください

ニオイ

酸化した皮脂は、頭皮にかゆみを発生させるだけでなく、不快なニオイの原因になる場合もあります。特に、男性は女性に比べて皮脂の量が多く、脂っぽいニオイが生じやすい傾向があります。

また、脂漏性皮膚炎のような病気になると、炎症が起きた頭皮にフケや分泌物などが生じるため、それらが不快なニオイにつながりかねません。脂漏性皮膚炎については「脂性肌の放置が招く炎症とニキビ」で後ほど詳しく解説します。

ベタつき

脂性肌になると頭皮や髪の毛が皮脂でベタつき、頭皮環境が悪化します。皮脂が毛穴に詰まり、髪の毛の成長が妨げられるかもしれません。さらに、頭皮の皮脂はヘアスタイルにも影響を与えるため、清潔感を損なう印象につながる可能性もあります。

ただし、皮脂のベタつきが気になるからといって1日に何度も洗髪するのは良くありません。必要な皮脂まで洗い流してしまい、かえって脂性肌が悪化する恐れがあるため注意してください

脂性肌の放置が招く炎症とニキビ

頭皮が脂性肌の場合、特に注意すべき皮膚の病気として脂漏性皮膚炎と頭皮のニキビが挙げられます。脂漏性皮膚炎は、頭皮をはじめ皮脂の分泌が盛んな部位でよく見られる皮膚の病気です。主な症状としてはフケやかゆみ、不快なニオイなどがあります。過剰な皮脂をエサに常在菌のマラセチア菌が異常増殖することが発症原因とされているため、脂性肌の方は脂漏性皮膚炎に注意が必要です。

他にも、皮脂を栄養源とするアクネ菌が増殖することでニキビが発生することもあります。ニキビは悪化すると炎症を起こす場合があり、そうなると腫れや膿が出たり、痕が残ったりするかもしれません。

脂漏性皮膚炎もニキビもセルフケアが難しいため、気になる症状がある場合は皮膚科を受診することが大切です

頭皮が脂性肌になる原因

皮脂の分泌量が多い男性は、女性に比べると頭皮が脂性になりやすいといえます。しかし、頭皮が脂性肌となるのには、性別以外にもさまざまな原因が考えられます。たとえば以下は、脂性肌になるリスクが高くなる要因です。

・食生活の乱れ
・自律神経の乱れ
・皮脂のすすぎ残し
・加齢

順番に見ていきましょう。

食生活の乱れ

私たちの体が日々の食事から作られるように、頭皮を保護する皮脂膜もまた、摂取する栄養から作られています。そのため、脂っこい料理やスナック菓子、ジャンクフードといった脂質の多い食事を日常的に取っていると、皮脂が過剰に分泌され、脂性肌になるリスクが高まります

また、魚や野菜をあまり食べないなど、栄養バランスが偏った食生活を送っている方も同様に注意が必要です。たとえば、カップラーメンや菓子パンが多い食生活では、皮脂の分泌量を適切に調整するために必要なビタミンが不足し、結果的に脂性肌を招くことがあります。

自律神経の乱れ

自律神経とは、呼吸や代謝などの生命活動に必要なさまざまな機能を私たちの意思とは無関係にコントロールしている神経です。活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」で構成され、24時間絶えず働いている点が特徴です。

自律神経の働きは、皮脂の分泌量にも深く関わっています。たとえば、以下の要因で交感神経が優位な状態が続くと、男性ホルモンの分泌が活発になります。

・ストレス
・睡眠不足
・寒暖差

このように、男性ホルモンと皮脂の分泌を増やす自律神経の乱れは、脂性肌につながる可能性があります。

皮脂のすすぎ残し

頭皮が脂っぽく感じられる方は、毎日のシャンプーで皮脂を十分に洗い流せていないのかもしれません。その原因として、使用しているシャンプーの洗浄力が弱い、あるいはシャワーの湯温が低過ぎることが考えられます。

湯温が低過ぎると、頭皮から皮脂が浮かばず、きちんと洗い流せません。反対に湯温が高過ぎると、頭皮を守るのに必要な皮脂まで奪ってしまいます。シャンプーの際は、湯温を36〜38℃くらいに設定するのがおすすめです

加齢

加齢に伴い筋肉量が減ると、基礎代謝が低下し、若い頃と同じ食生活を続けることでカロリーを消費しきれないことが増えます。体内で消化しきれなかったカロリーや脂肪分は、頭皮の皮脂を増やす要因になる可能性があります

もし、中年太りと頭皮のベタつきが同時に気になり始めたら、それは加齢による基礎代謝の低下が原因かもしれません。皮脂の過剰な分泌を抑え、健やかな頭皮環境を保つためにも、年齢に合わせた生活習慣の見直しが重要です。

頭皮の脂性肌を改善する方法

頭皮の脂性肌は、シャンプーや保湿といった日々のヘアケアで改善できる可能性があるので、まずは身近なヘアケア習慣から変えてみましょう。セルフケアで改善しない場合は皮膚科を受診してください。以下で詳しく解説します。

・シャンプーの変更
・保湿
・皮膚科の受診

シャンプーの変更

肌質に合わないシャンプーを使うと、かえって脂性肌が悪化する可能性があります。頭皮の脂性肌を改善するには、皮脂を適度に落とし、地肌にダメージを与えにくいシャンプーを選ぶことが重要です。次のような成分を含むシャンプーは頭皮環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、避けるのが賢明といえます。

避けるべき成分

理由

アルコール

必要以上に皮脂を洗い流してしまう恐れがある

シリコン

育毛剤などの浸透を妨げる恐れがある

脂性肌を改善するには、皮膚に優しく、保湿効果があるアミノ酸系のシャンプーがおすすめです

保湿

皮脂は、頭皮を乾燥や外部刺激から守る重要なバリア機能を担っています。そのため、必要以上に洗い流すと、頭皮が防御反応としてかえって皮脂の分泌を活発化させてしまいかねません。

健やかな頭皮のバリア機能は、水分と油分の適切なバランスによって保たれます。したがって、保湿で水分を補い、このバランスを整えることが、皮脂の過剰分泌を抑制するうえで効果的です。保湿の際は、敏感肌や低刺激と表示されている保湿剤が良いかもしれません。使いやすさの点では、液だれしにくく塗りやすいジェルタイプや乳液タイプがおすすめです

皮膚科の受診

上記のセルフケアを試しても改善しない場合や、次のような重い症状が出ている場合には、皮膚科の受診が効果的な選択肢となります。

・炎症を起こしたニキビ(赤ニキビ・黄ニキビ)が多発している
・頭皮のベタつきに加えて赤みやフケがあり「脂漏性皮膚炎」が疑われる

皮膚科では、マイクロスコープなどで頭皮の状態を適切に診断し、一人ひとりにあった外用薬や内服薬を処方してくれます。セルフケアに限界を感じた場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です

頭皮の脂性肌を予防する方法

ベタベタとして脂性肌になっている頭皮を改善するためには、普段から以下を意識しましょう。

・脂っぽい食事を控える
・ストレスを解消する
・適切な方法でシャンプーする

ここでは、頭皮の脂性肌を予防する方法について解説します。

脂っぽい食事を控える

頭皮の皮脂量は日々の食事に左右されます。特に、脂質の多い食事は皮脂の分泌を過剰にするため、ベタつきが気になる方は脂っこい食べ物を控えるのが基本です

同時に、皮脂の分泌をコントロールし、頭皮環境を健やかに保つビタミン群を積極的に取り入れましょう。

たとえば、赤身魚や脂質の少ない肉類、玄米に含まれるビタミンB6は脂質の代謝を助け、皮脂量を適正に保ちます。また、ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜から取れるビタミンAも、頭皮のターンオーバーを正常化し、皮脂の過剰な分泌を抑えるために欠かせない栄養素です。

ストレスを解消する

皮脂が多く分泌される背景には、ストレスによる自律神経やホルモンバランスの乱れが隠れていることがあります。現代社会でストレスを完全に避けるのは難しいからこそ、自分に合った方法でストレスを発散させる意識を持ちましょう。たとえば、体を動かすのが好きな方なら、週末の運動やハイキングなどが効果的な気分転換になるかもしれません。

一方、運動が苦手な方は、カラオケで大きな声を出したり親しい友人とおしゃべりを楽しんだりするのもよいでしょう。

適切な方法でシャンプーする

脂性の頭皮を改善するには、1日1回丁寧にシャンプーしましょう。1日に何度もシャンプーすると、肌を守る皮脂が失われ、かえって皮脂の分泌量が増加するため気を付けてください。シャンプーは以下の手順で実施しましょう。

1.髪の毛のもつれをとる
2.頭皮をお湯で予洗いする
3.シャンプーを泡立て、髪の毛を洗う
4.毛の流れに逆らうようにすすぐ
5.再度シャンプーを泡立て、頭皮を洗う

湯温は36~38℃に設定してください。湯温が低いと余分な皮脂が頭皮に残り、湯温が高過ぎると頭皮を守る皮脂膜まで洗い流してしまいます。

頭皮の脂性肌を改善するには毎日のセルフケアと生活習慣の改善がカギ!

頭皮の脂性肌は、食生活や自律神経の乱れ、洗髪不足などを要因として引き起こされます。脂性肌になると、フケやかゆみ、ベタつきといった不快な症状が現れるだけでなく、脂漏性皮膚炎などの病気につながる可能性も否めません。そのため、脂性肌になった場合は、放置せずに適切な対処をしていくことが大切です。

自分が脂性肌なのかを判断するには、本記事で紹介した頭皮タイプのセルフチェック法を活用しましょう。脂性肌の疑いがある場合は、シャンプーを変更したり保湿をしたりするなどして対策してください。セルフケアで改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。