抜毛症(トリコチロマニア)とは

抜毛症とは美容以外の目的で髪の毛を始めとする体毛を自分で引き抜いてしまう疾患です。トリコチロマニアとも呼ばれています。
自分で意識して髪の毛を引き抜くケースもあれば、無意識に引き抜いてしまうケースもあります。
また、髪の毛や体毛などを引き抜く行為によって、しばしば満足感を覚える点も抜毛症の特徴の1つです。
髪の毛やまつげ、眉毛などを引き抜くケースが多いですが、全身のあらゆる体毛が抜毛行為の対象となります。
もしかして抜毛症?チェックリスト
以下のチェック項目に1つでも該当する方は、抜毛症を発症している可能性があるため注意が必要です。
・髪の毛や眉毛など体毛を引き抜いてしまう
・抜いた毛を食べてしまう
・毛を抜くと緊張や不安が緩和される
・抜くのをやめようとしても止められない
・ザラザラ・チリチリした毛を抜いてしまう
ここでは、抜毛症が疑われる行為について個々に解説します。
髪の毛や眉毛など体毛を引き抜いてしまう
抜毛症の代表的な症状が、髪の毛や眉毛を始めとする体毛を自ら引き抜いてしまう点です。
なお、眉毛を整えるなどの目的で抜くのは抜毛症の症状とは関係ありません。
自分の毛髪や体毛を引き抜くケースが一般的ですが、他人やペットの毛を引き抜く事例も見られます。
また、カーペットや衣服などの繊維を引き抜く行為がやめられない方も、抜毛症を発症している可能性があります。
抜いて毛を食べてしまう
抜毛症を発症している方にしばしばみられる症状の1つが、抜いた毛を食べてしまう行為です。
飲み込んだ毛が胃のなかで固まると消化管から排出されなくなり、外科的手術が必要となるケースもあります。
その他にも、爪を噛んだり肌をむしったりするケースも散見されます。
毛を抜くと緊張や不安が緩和される
抜毛症を発症している方のなかには、毛を抜く行為によって緊張や不安が緩和される方もいます。
緊張や不安への対処法が分からないと、抜毛行為に拍車がかかるケースもあるため注意しなければなりません。
抜毛症がどちらかと言えば子どもに多く見られるのも、精神的に未熟な子どもは緊張や不安への対処法が分からないためです。
抜くのをやめようとしても止められない
抜毛行為をやめようとしても止められない点も、抜毛症の特徴的な症状の1つです。
「毛を抜いてはいけない」と理性では分かっていても、不安や緊張が起こるたびに抜毛の衝動が湧き起こり、抜毛行為におよんでしまいます。
抜毛症はしばしば不安障害などの精神疾患を併発するため、不安を抑えるためさらに抜毛行為がエスカレートするケースも少なくありません。
ザラザラ・チリチリした毛を抜いてしまう
抜毛症を発症した方のなかには、ザラザラ・チリチリした毛を集中的に引き抜く方もいます。
ザラザラ・チリチリした毛を引き抜く行為に快感を覚えると、より積極的に特定の質感の毛を引き抜くようになります。
抜毛症の対象となるのは多くが髪の毛や眉毛、まつげなどですが、陰毛を引き抜く方がいるのはザラザラ・チリチリした質感の毛が気になるためと考えられます。
抜毛症の主な原因はストレス

抜毛症の主な原因はストレスです。
特に不安や緊張、プレッシャーなどが積み重なり、結果として抜毛症を発症するケースが多いです。子どもに抜毛症が多く見られるのも、ストレスを上手にコントロールできないためと考えられます。
抜毛症を発症するその他の原因としては、不安障害や強迫性障害を始めとする精神疾患も挙げられます。
毛を抜くのは強迫性障害の特徴的な症状ではありませんが、抜毛により不安や緊張の軽減につながるため、抜毛行為をやめられないケースが少なくありません。
抜毛症の治療方法
抜毛症の発症が疑われる際には、病院で以下の治療を行い、改善を図るのが一般的です。
・薬物療法
・行動療法
ここでは、抜毛症を改善するための治療方法について解説します。
薬物療法
抜毛症は主にストレスが原因となって発症するため、抗うつ薬や抗不安薬を用いて治療を行うのが一般的です。
抜毛症の代表的な治療薬が選択的セロトニン再取り込み阻害薬です。
脳内で生成されたセロトニンが細胞に吸収されるのを防ぐと、脳内のセロトニン濃度が上昇するため、不安や緊張を緩和する効果が期待できます。
抗うつ薬としては、クロミプラミン塩酸塩を配合した医薬品などが挙げられます。
また、不安やストレスなどにより睡眠障害を訴える方には、睡眠導入剤が処方されるケースも珍しくありません。
行動療法
行動療法は認知行動療法とも呼ばれており、症状を改善するために行動を変化させていく治療法として知られています。
行動療法には以下のような種類があります。
・セルフモニタリング法
・セルフコントロール法
・習慣逆転法
抜毛症のケースでは「抜毛行為」という目に見える行動だけでなく、脳内に生じた「思考」や「感情」も変化させていく点が特徴です。
行動療法の具体的な流れは以下の通りです。
・どのように行動を変化させると抜毛症にともなう症状を減らせるか考える
・行動を変化させる練習に取り組む
・行動の前後でどのような変化があったのかを確認する
・行動の変化により症状が改善すれば思考や感情も変わる
抜毛症を発症すると主にストレスを発散する目的で毛を抜いてしまうため、抜毛の代わりになる行動に替える試みを行います。
抜毛行為がなくてもストレスが発散できるようになれば、「毛を抜きたい」といった思考や感情も変わるため、抜毛症を根本から改善する効果が期待できます。
抜毛症に関するよくある質問
抜毛症が発症すると、以下のような疑問を持つ人が多いです。
・抜毛症は何年くらい続く?
・抜毛症を止める方法はある?
・抜毛症で毛が生えなくなることがある?
ここでは、抜毛症に関して多く寄せられる質問に回答します。
抜毛症は何年くらい続く?
抜毛症が何年くらい続くかに関しては個人差があり、比較的短期間で改善がみられるケースもあれば、なかには20年以上も症状が続く人もいます。
また、抜毛症を発症した際に早期から適切な治療を行わないと、慢性的な経過をたどるケースが多いため注意が必要です。
特に13歳以降に発症すると慢性的な経過をたどりやすいとされているため、発症が疑われる際には速やかに治療を受ける必要があります。
抜毛症を止める方法はある?
抜毛症を止めるためには、毛を抜いてしまう原因を突き止めなければなりません。
心療内科など専門の病院で原因を突き止め、適切な治療を受けると抜毛行為を止められる可能性があります。
抜毛は自分の心が発するSOSとしての側面もあるため、行為自体を責めるのではなく、早めに専門医に相談し、原因に応じた治療を受けるのがおすすめです。
抜毛症で毛が生えなくなることがある?
抜毛症の発症にともない毛を抜き続けると、毛穴から毛が生えてこなくなる可能性があります。
抜毛行為によって毛根が完全に失われると、髪の毛の成長が期待できなくなるためです。
抜毛により毛根が完全に死滅する前に、早めの治療で改善を図るのがおすすめです。
抜毛症に気づいたら放置せず病院に相談を
抜毛症は一般的な脱毛症とは異なり、自分で自分の髪の毛や体毛を引き抜く点が特徴です。
主にストレスが原因で抜毛行為におよんでしまうため、まずは専門の医療機関を受診して原因を突き止めるのが重要なポイントです。
抜毛はしばしば自分の心が発するSOSとしての側面も有するため、行為自体を責めるのは避けてください。
自分や家族の抜毛行為に気づいたら、自分の判断で放置せずに病院に相談するよう心がけましょう。







