抜け毛の種類と見分け方

抜け毛がひどいと驚いてしまいますが、実は抜け毛には、心配がいらない「自然脱毛」と注意が必要な「異常脱毛」があります。以下の流れで、それぞれの特徴や見分け方を解説します。

・正常な抜け毛とは
・注意が必要な抜け毛とは
・正常・異常な抜け毛の見分け方

まずは、自分の抜け毛がどちらなのかを見極めましょう。

正常な抜け毛とは

正常な抜け毛は、髪の毛のヘアサイクルの影響で発生する、自然な現象です。ヘアサイクルには、髪の毛が伸びる「成長期」・髪の毛の成長が止まる「退行期」・髪の毛が抜ける「休止期」があります。健康な方の髪の毛は、2〜6年の成長期を経て自然に抜けていきます。これは「自然脱毛」と呼ばれ、誰にでも起こる正常な現象です。

一般的に、日本人の平均的な髪の毛の量は10万本程度で、1日に50〜100本程度が抜けるとされています。この量は髪の毛全体の0.05〜0.1%に過ぎないため、心配はいりません。

注意が必要な抜け毛とは

注意が必要なのは、ヘアサイクルに関係なく抜ける髪の毛です。何らかの理由で成長期が短くなると、髪の毛が育ちきらないうちに抜けてしまいます。これは「異常脱毛」と呼ばれ、注意が必要な抜け毛です。異常脱毛による抜け毛は、成長途中や成長せずに抜けるため、髪の毛の長さが短い傾向が見られます。

春や秋といった抜け毛が増えやすい季節ではないのに、毎日200本を超える抜け毛がある場合、異常といえます。何もしていないのに髪の毛がポロポロと抜けたり、朝起きたら枕に落ちている髪の毛の量が増えていたりする場合は、早めのケアが必要です。

正常・異常な抜け毛の見分け方

では、抜け毛が正常か異常かの見分け方は、以下のポイントを見ることで判別可能です。

見るポイント

正常な抜け毛

異常な抜け毛

毛根

・白くて半透明
・丸みを帯びている

・黒くべたついている
・形が歪んでいたり尖っていたりする
・白い塊がついている

髪の毛

・太く長い
・しっかりしている

・細くて短い
・弱々しくてコシがない

抜け毛の本数

・1日100本以内
※ただし春と秋は増える

・毎日200本以上が抜ける

異常な抜け毛の兆候に複数当てはまる場合は、早めに理由を見極め、適切に対応していきましょう

抜け毛が多い原因とは

抜け毛がひどい理由には、さまざまなことが考えられます。代表的な要因について詳しく見ていきましょう。

・栄養バランスの偏り
・睡眠不足
・ホルモンバランスの乱れ
・不適切なヘアケア
・季節による影響
・病気
・加齢
・遺伝との関係性
・喫煙によるダメージ
・ヘアスタイルによる負担
・男女で抜け毛の原因が異なることも

栄養バランスの偏り

抜け毛が増える理由として、栄養バランスの偏りが考えられます。加工食品やジャンクフードが中心の食事では、髪の毛の成長に必要なたんぱく質やビタミン・ミネラル類を十分に摂取できません。栄養不足が続くと髪の毛の成長が妨げられ、ヘアサイクルの成長期が短くなります。その結果、髪の毛が十分に成長しないうちに抜け落ちやすくなる仕組みです

また、脂肪を多く摂取する食事習慣も推奨できません。血流に影響し、髪の毛に栄養が届きづらくなるからです。さらに、過度な食事制限も、たんぱく質などが不足し抜け毛につながるため、できるだけ控えましょう。

睡眠不足

睡眠不足も抜け毛につながる理由のひとつとされています。睡眠不足に陥ると成長ホルモンの分泌量が変化し、髪の毛の形成に必要なたんぱく質が十分に合成されません。その結果、髪の毛の成長に影響を与え、抜け毛のリスクが高まります。

また、睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れるため、自律神経が乱れます。その影響で血流が変化すると、頭皮へ十分な栄養が送られません。すると、髪の毛が生まれ変わるターンオーバーの仕組みにも影響を与えます。抜け毛ケアのためにも、慢性的に睡眠が不足している方は6~8時間程度の睡眠を取るようにしましょう。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れも、抜け毛が増える理由のひとつと考えられています。男性ホルモン「テストステロン」は、体内の還元酵素「5αリダクターゼ」と結びつくことで「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されます。DHTは毛母細胞を攻撃して髪の毛の成長を妨げるため、抜け毛が増える仕組みです

なお、DHTは、日本人男性の3人に1人が発症する「AGA(男性型脱毛症)」の要因物質ともされています。AGAをケアするためにも、十分な睡眠を取り、ホルモンバランスを乱さないよう心がけてください。

不適切なヘアケア

頭皮に負担をかけるヘアケアは頭皮環境を変化させ、抜け毛が増える結果にもつながります。次のようなヘアケア習慣に心当たりがある方は、早めに見直しましょう。

・刺激の強いシャンプーを使う
・シャンプー後のすすぎが十分でない
・爪の先で頭皮をゴシゴシ擦って洗う
・40度以上のお湯で洗う
・シャンプー後に髪の毛を自然乾燥させる
・ドライヤーを10分以上かける

自分に合ったシャンプーやヘアケア法を取り入れて、健やかな頭皮と髪の毛を守るよう心がけてください。

季節による影響

春と秋は抜け毛が増える季節といわれています。春に抜け毛が増える主な理由は、以下のとおりです。

・生活環境の変化によるストレスで自律神経が乱れる
・寒暖差で自律神経が乱れる
・花粉症などの自己免疫疾患で抜け毛が誘発される

一方、秋に抜け毛が増える理由には、以下のような要素があると考えられています。

・夏の紫外線や暑さによる疲労で髪の毛が受けた影響が表面化する
・気温が下がり自律神経が乱れる
・空気の乾燥により頭皮も乾燥し硬くなり、抜け毛につながる

春や秋に急に抜け毛が増えても、一時的なものなら問題ないといえるでしょう

病気

急に抜け毛が増えた場合は、病気の可能性もあるため、注意する必要があります。抜け毛が増える理由と考えられる主な病気は以下のとおりです。

・AGA(男性型脱毛症)
・AGA以外の脱毛症(円形脱毛症、びまん性脱毛症など)
・脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
・甲状腺の病気
・新型コロナウイルスの後遺症

特に、成人男性は3人に1人がAGAを発症するといわれています。AGAは適切な方法により進行を抑えることで薄毛のケアがが期待できる病気です。抜け毛の理由が病気かもしれないと気になる方は、病院を受診しましょう。

加齢

年齢を重ねることも、抜け毛が増える理由のひとつとされています。加齢によって頭皮の状態や血流が変化すると、髪の毛に必要な栄養が十分に頭皮まで届きません。さらに、年齢を重ねると髪の毛を作る毛母細胞の働きにも影響を与えるため、ヘアサイクルの変化とともに抜け毛が目立ちやすくなります

老化は防ぎようがないため、多少の抜け毛は仕方のないことです。とはいえ、バランスのよい食事や規則的な生活を送ることで、ある程度抜け毛の進行はケアできるといわれています。

遺伝との関係性

薄毛、特に男性型脱毛症(AGA)は、遺伝的な影響を受ける傾向にあります。AGAの要因となる酵素(5αリダクターゼ)の作用度合いや、DHTの受け取りやすさは親から子へと受け継がれるため、家族に薄毛の方がいる場合は発症リスクが高まると考えられているためです。

ただし、遺伝子を受け継いでいたとしても、必ず薄毛になるわけではありません。生活習慣の見直しなどで薄毛へのケアに取り組むことができるため、まずは取り組みやすい要素から見直していきましょう。

喫煙によるダメージ

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があります。頭皮には細い血管が張り巡らされており、髪の成長に必要な酸素や栄養が届けられます。しかし、喫煙により血管が収縮すると、十分な栄養や血液が毛根に行き渡らなくなり、抜け毛が目立ったり髪が細くなったりします。健康な髪を育てるためには、禁煙もしくは喫煙量を減らす取り組みを心がけましょう。

ヘアスタイルによる負担

毎日同じ結び方で髪を強く引っ張るヘアスタイルは、頭皮への大きな負担となります。例えばお団子ヘア(マンバン)のような髪を引っ張る髪型を長時間続けると、常に毛根が引っ張られた状態になり、生え際や分け目の髪が抜けやすくなる「牽引性脱毛症」になる可能性があります。

対処法としては、以下の方法が考えられます。

・髪を結ぶ位置を日によって変える
・分け目をときどき変える
・自宅にいる時は髪を結ばない

このように、頭皮を休ませ、毛根への負担を減らす工夫が大切です。

男女で抜け毛の原因が異なることも

抜け毛が増える原因は、男性と女性で異なる場合が少なくありません。男性の抜け毛は、遺伝や男性ホルモンの影響によるAGAによるものが多いとされています。日本人男性の3人に1人がAGAを発症するといわれているため、比較的よく見られる症状です。

一方、女性の抜け毛は、ホルモンバランスの乱れに起因する場合が多いとされています。出産後にホルモンバランスが大きく変わることで一時的に抜け毛が目立ったり、更年期に入る40〜50代にかけて抜け毛を自覚したりするケースが多くあります。

また、ヘアケアや生活習慣の影響を受けることも少なくありません。このように、男女で抜け毛が増える原因が異なるため、ケアの方法も異なります。自分の性別に合ったケアを選びましょう。

抜け毛を減らす対策方法

ひどい抜け毛を減らすために、自分でできる対策もあります。抜け毛が増えてきたと感じたら、次の対策を実践してみてください。

・バランスの良い食生活
・睡眠の見直し
・適切なヘアケア習慣
・育毛剤や発毛剤の活用
・正しいシャンプーの方法
・病院の受診

バランスの良い食生活

髪の毛は日常の食事から摂取する栄養素をもとに作られるため、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。抜け毛をケアする際に摂取したい主な栄養素は以下のとおりです。

栄養素

効果

食品例

たんぱく質

髪の毛を作る原料となる

肉類・魚類・豆類など

亜鉛

髪の毛の主成分ケラチンの合成をサポートする

牡蠣・牛肉(赤身)・ナッツ類など

ビタミンB

細胞の代謝や皮脂分泌を調整する

ナッツ類・あさり・鶏レバーなど

脂質を多く含む食品の過剰な摂取は、頭皮の血流に影響を与え、抜け毛につながる原因となるため、控えてください

睡眠の改善

適切な睡眠時間は個人により異なりますが、一般的に6〜8時間ほど確保することが推奨されています。髪の毛の成長に必要な毛母細胞の分裂には、夜間に分泌される成長ホルモンが欠かせません。成長ホルモンは、入眠してから1〜3時間くらい経った頃の深い睡眠中に多く分泌するといわれています。

そのため、スムーズに質の高い睡眠に入れるようリラックスした状態で布団に入ることを心がけましょう。あわせて、髪の毛の成長を促すよう日頃から早寝早起きを心がけ、日中に適度な運動を取り入れて睡眠の質を高める取り組みも大切です。

適切なヘアケア習慣

抜け毛を防ぐには、頭皮や髪の毛を丁寧に扱うケアが大切です。毎日のヘアケア習慣で、以下のポイントを意識してみましょう。

・頭皮を清潔に保てるよう丁寧にシャンプーする
・頭皮を整えるスカルプケアシャンプーを使う
・血流がよくなるよう頭皮マッサージをする
・ドライヤーの温度は低〜中程度で使用する
・毛穴を詰まらせないよう頭皮付近にスタイリング剤はつけない

なお、スカルプケアシャンプーの機能や選び方、使用時のポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

スカルプケアシャンプーって何?
使うとどんなメリットがある?

育毛剤や発毛剤の活用

日頃の習慣を見直しても変化を感じにくい場合、育毛剤や発毛剤を検討するのもひとつの方法です。

育毛剤

発毛剤

分類

医薬部外品

医薬品(第1類医薬品)

目的

今ある髪の毛を維持する

新たな髪の毛を生やし、毛量を増やす

配合成分

天然由来の成分が多く使われる

発毛に有効とされる成分「ミノキシジル」が含まれる

購入時の薬剤師の情報提供

不要

必要

使用をおすすめする方

髪の毛のボリュームダウンが気になりだした方

抜け毛の量の増加を感じる方

育毛剤と発毛剤の違いを理解したうえで、自分に合った方を選んでください。

正しいシャンプーの方法

抜け毛をケアするには、頭皮への負担を最小限にするシャンプーの手順を理解するのが大切です。次の手順に沿って、毎日の洗髪を工夫してみてください。

1.お湯で髪と頭皮をすすぐ「予洗い」で汗やホコリを落とす
2.シャンプーを手のひらでよく泡立てる
3.爪を立てず、指の腹を使って洗髪を始める
4.洗髪中は頭皮をマッサージするように優しく洗う
5.すすぎ残しがないように時間をかけて丁寧に洗い流す
6.洗髪後は濡れた髪を放置せず、すぐにドライヤーで乾かす

抜け毛ケアには、髪の毛よりも頭皮の汚れを落とす意識を持って洗髪しましょう。シャンプーの成分が残りやすい耳の裏などは、頭皮トラブルが起こりやすい場所のひとつです。成分が残らないよう、念入りにすすぎましょう。

病院の受診

セルフケアを続けても抜け毛の量に変化が見られない場合は、病院の受診をおすすめします。抜け毛に対する適切なアドバイスやケアを受けるには医師の判断が必要です。病院を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。

病院

おすすめの方

皮膚科

頭皮トラブルがあったり円形脱毛症の症状があったりする方

内科

髪の毛以外にも何らかの気になる症状がある方

AGAクリニック

加齢とともに抜け毛が増え、薄毛が進行するAGAの可能性を強く感じる方

抜け毛の症状やタイプにあわせて適切な受診先を見極めましょう

抜け毛が多い・ひどい場合に医師に相談するタイミング

抜け毛について不安を感じた時、いつ受診すべきかの目安を知っておけば、適切なタイミングでケアを開始できます。具体的には、セルフケアでも抜け毛の量に変化が見られない場合や、短期間で抜け毛が増えたと感じたときは、早めに医師へ相談しましょう。

ひとつの目安となるのが、抜け毛の量と続いている期間です。1日に100本以上の抜け毛が数ヶ月以上続く場合や、枕元や排水溝に溜まる毛量が明らかに目立つように感じる場合は注意が必要です。

また、赤みやかゆみのほか、フケや円形に脱毛している場合も、なんらかの頭皮トラブルが起こっている可能性があります。特にAGAなどの薄毛は、放置すると症状が進行するため、早期発見によるケアが重要です。

自己判断で悩み続けず、専門のクリニックや皮膚科で診断を受けることで、ひとりひとりの理由に応じた適切なケアを受けられます。少しでも気になる症状がある方は、早めに医師に相談してみてください。

抜け毛の原因を踏まえて適切にケアしよう

抜け毛には、生活習慣の乱れや不適切なヘアケア、加齢、ホルモンバランスの変化などさまざまな原因が考えられます。まずは自分に起きている抜け毛の原因を理解し、日常でできるセルフケアから取り組んでいきましょう。あわせて、育毛剤・発毛剤の使用や、病院の受診など、必要に応じた適切な対策を考えることも大切です。

抜け毛は放置すると進行する可能性があるため、髪の毛の悩みには早めに向き合う意識を持ちましょう。短期間で抜け毛の量が増えたり、抜け続けていたりする場合は様子を見ずに、医師に相談してください。毎日の積み重ねが髪の毛の状態を左右します。普段から健やかな頭皮環境を整える取り組みを続け、髪の毛の成長をしっかりサポートしていきましょう。