脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎とはどのような病気なのか、わからない方もいるでしょう。はじめに、特徴や主な症状など、脂漏性皮膚炎の概要を解説します。

脂漏性皮膚炎の概要

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部分に発生する湿疹の一種です。乳児期に見られる「乳児型」と、思春期以降に見られる「成人型」の2種類に分けられます。主な特徴は以下のとおりです。

タイプ

特徴

成人型

・30代~40代での発症が多い
・男性の方がかかる可能性が高く、男女比は約2:1
・慢性化しやすく、再発を繰り返すことが多い

乳児型

・生後2〜3週間頃から発症する
・乳児の約3分の1が発症する
・多くのケースで1歳頃までに自然に治る

成人型は、症状がひどいと自然に治ることがほぼないため、病院での治療が必要です

脂漏性皮膚炎の主な発症箇所

脂漏性皮膚炎は、主に以下の部分に症状が見られます。

  • 頭皮
  • 髪の生え際
  • 耳の後ろ

中でも、症状が多く出るのは頭皮です。脂漏性皮膚炎が頭皮に発生することで頭皮環境が悪化し、抜け毛が進行する「脂漏性脱毛症」が発生する場合もあるため注意が必要です

皮脂と角質が混ざり合ったベタつくフケが見られるだけでなく、シャンプーや就寝時にいつもより多い抜け毛がある場合も、脂漏性脱毛症の可能性があります。早めに病院を受診し対処しましょう。

脂漏性皮膚炎の症状

脂漏性皮膚炎になると、以下のような症状がみられます。

  • 皮膚の赤み
  • 白から黄色のうろこ状のフケ
  • かゆみ

頭皮に脂漏性皮膚炎を発症すると、患部に白から黄色のうろこ状のフケと皮膚の赤みをともないます。頭皮に発生した脂漏性皮膚炎は、軽い場合はフケが目立つ程度です。しかし、重症になると、黄色く脂っぽいうろこのような皮膚で頭部が覆われることもあります。

「ただのフケだから大丈夫」と放置してはいけません。症状が悪化すると、フケがこびりついて頭皮全体が硬くなる可能性もあるため早めの対処を心がけましょう。

脂漏性皮膚炎の主な原因

脂漏性皮膚炎の発症には、皮膚に常在しているカビと皮脂が深く関わっています。順番に見ていきましょう。

カビの増殖

脂漏性皮膚炎は、頭皮に常在する「マラセチア」と呼ばれるカビの異常増殖が原因と考えられています。人体にはさまざまな常在菌が存在しており、マセラチアもその一種です。

マラセチアは、皮脂に含まれる脂肪の一種「トリグリセリド」を遊離脂肪酸に分解します。分解された遊離脂肪酸が皮膚へ刺激を与えることで炎症を引き起こし発症するのが、脂漏性皮膚炎です。マラセチアは皮膚をエサとして増殖するため、頭皮に皮脂が多いほどマセラチアも増えていき、脂漏性皮膚炎の発症リスクが高くなると考えられています。

皮脂の過剰分泌

皮脂の分泌が多いほどマラセチアは増殖し、脂漏性皮膚炎のリスクが高まります。皮脂を分泌する皮脂腺が過剰に活動すると、多くの皮脂が分泌されます。すると、マラセチアが普段よりも増えて、脂漏性皮膚炎が発症する仕組みです。

男性ホルモンは皮脂の分泌を促進するため、男性の方が脂漏性皮膚炎になりやすい傾向があります。ホルモンバランスの乱れにより女性でも発症することはありますが、男性は特に注意しましょう。皮脂の分泌を抑えて脂漏性皮膚炎を予防する方法については「脂漏性皮膚炎の予防法」で詳しく解説します。

脂漏性皮膚炎になった際の治し方

脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、自然に治りづらい傾向があります。発症した際には、以下の治し方が効果的です。それぞれ理解しておきましょう。

  • 市販薬を使用する
  • シャンプーを変える
  • 皮膚科を受診し薬を使用する

市販薬を使用する

脂漏性皮膚炎による頭皮の赤みやかゆみなどの症状は、市販されているローションタイプのステロイド外用薬を塗布することで改善が期待できます。この場合、頭皮のかゆみ・フケ用と記載がある市販薬を使用するとよいでしょう。使用する際は、必ず使用方法や注意事項をよく読み、用法・用量を守ってください。

症状に合わない市販薬をむやみに使用すると、改善が見られなかったり、かえって悪化したりする可能性もあります。そのため、市販薬の使用後に症状が良くならない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

シャンプーを変える

脂漏性皮膚炎には、抗真菌薬を含むシャンプーが効果的です。脂漏性皮膚炎に対しては、マラセチア属の真菌を抑える「ケトコナゾール」を含むシャンプーを使用します。医師に相談し、抗真菌薬を含むシャンプーを紹介してもらうこともおすすめです。

また、皮脂が多いとマラセチアが増殖するため、皮脂の分泌を抑える成分が含まれたシャンプーを使用することも効果的です。脂漏性皮膚炎による炎症を悪化させないために、敏感肌用のシャンプーを使用しても良いでしょう。肌に必要なうるおいを守りながらも余分な皮脂を落とせるシャンプーに変更してみてください。

皮膚科を受診し薬を使用する

脂漏性皮膚炎の発症が疑われる場合は、原則として皮膚科を受診しましょう。自力での対処は、症状を悪化させる可能性があるからです。

皮膚科では、主に以下の治療を行います。

  • ステロイド外用薬
  • 抗真菌外用剤
  • ビタミン剤

基本的な治療法は、患部へのステロイド外用薬の塗布です。頭皮に発症した場合には、塗布しやすい液体のローションタイプが用いられます。近年ではカビを抑えるための抗真菌外用剤や、皮脂の分泌量をコントロールするビタミン剤が処方されることもあります。

脂漏性皮膚炎の予防法

脂漏性皮膚炎を予防するには、頭皮を清潔に保つことと、皮脂の分泌量を抑えることが重要です。以下で効果的な予防法を紹介していきますので、順番に見ていきましょう。

・毎日洗髪し頭皮を清潔に保つ
・ストレスを発散する
・バランスの良い食事を摂る
・十分な睡眠時間を確保する

毎日洗髪し頭皮を清潔に保つ

皮脂が溜まることによるカビ(マラセチア)の増殖を防ぐためにも、毎日洗髪して頭皮を清潔に保ちましょう。効果的な洗髪方法は以下のとおりです。

1.髪のもつれを取る
2.頭皮を濡らし、湯洗いする
3.手のひらでシャンプーを泡立ててから髪を洗う
4.毛の流れに逆らうようにすすぐ
5.2回目は頭皮をマッサージしながら洗う
6.時間をかけて丁寧にすすぐ

なお、温度が低いお湯で洗髪すると皮脂が残る可能性があり、反対に熱すぎると必要な皮脂まで洗い流してしまいます。そのため、髪の毛を洗う際は、38℃程度のぬるま湯を使いましょう。

ストレスを発散する

皮脂の分泌量を減らすためには、適度にストレスを発散することも重要です。

ストレスにより交感神経が優位になるとホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌量が増加します。皮脂の分泌が増加すると、脂漏性皮膚炎の要因と考えられるカビ(マラセチア)が必要以上に増殖してしまうため、ストレスのため過ぎにも注意が必要です。

ストレスは脂漏性皮膚炎の悪化にも関係していると考えられています。適度に身体を動かしたり趣味に没頭したりするなど、自分に合ったストレス発散法を身につけ、ストレスを溜めないよう心がけましょう。

脂質を避けビタミンB2を摂る

脂っぽい食品により皮脂が過剰に分泌されることがあります。必要以上に脂質が多い食品はなるべく避けましょう。以下は、避けるべき食品の代表例です。

  • 揚げ物
  • 洋菓子
  • スナック菓子

一方、ビタミンB2は脂質の代謝を活発にする働きがあります。ビタミンB2を多く含む食品は下記のとおりです。

  • レバー
  • さわら
  • 牛乳
  • 納豆
  • ほうれん草

脂漏性皮膚炎の予防は、皮脂が多く分泌されるのを防ぐために、脂っぽい食品を減らすことが大切です。あわせて、ビタミンB2を含む食品をバランスよく摂取し、脂質の代謝を良くしましょう。

十分な睡眠時間を確保する

睡眠不足は、脂漏性皮膚炎を悪化させる要因とされています。睡眠が不足するとホルモンバランスが乱れ、皮脂が過剰に分泌されやすくなるからです。

同時に、睡眠は肌の回復にも欠かせません。入眠から3〜4時間で脳下垂体から分泌される成長ホルモンには、肌のハリや弾力を保つために必要な水分を保持する働きや、古い皮膚を新しい皮膚に生まれ変わらせる「ターンオーバー」の働きもあります。

成長ホルモンは、肌だけではなく頭皮にも影響を及ぼす成分です。健康な頭皮環境を保ち脂漏性皮膚炎を予防するためにも、十分な睡眠を心掛けましょう。

脂漏性皮膚炎の注意点

脂漏性皮膚炎には、特徴的な注意点がいくつかあります。以下で順番に確認していきましょう。

他の病気と区別がつきにくい

脂漏性皮膚炎には、区別がつきにくい病気がいくつかあります。

区別がつきにくい病気の代表例は、アトピー性皮膚炎と酒さです。主な違いは以下のとおりです。

脂漏性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

酒さ

症状

皮膚の赤み、うろこ状のフケ

皮膚の赤み、小さな盛り上がり

皮膚の赤み、ほてり

患部

頭皮や鼻周り、耳周りなどの皮脂が多い部分

顔、首、胸、背中、手足、胴体

顔(特に鼻周り)、眼

主な原因

カビの増殖、ストレス、不規則な生活

アトピー素因、日常環境

不明

病気により対処も異なるため、自分で判断せず病院を受診しましょう。

寒く乾燥した環境で悪化しやすい

脂漏性皮膚炎は、気温が低く乾燥した環境で悪化しやすい傾向があるため、冬の冷え込みと乾燥には注意が必要です。

このような環境で脂漏性皮膚炎が悪化しやすいのは、乾燥により肌のバリア機能が低下するだけでなく、乾燥から皮膚を守るために皮脂の分泌が増えるためと考えられています。寒く乾燥した時期には、できるだけ保湿を心がけましょう。

ただし、保湿の際に油分の多いケア製品を多く使用すると、油分がカビのエサになってしまうリスクもあります。保湿剤の成分と量をきちんと確認し、規定量を使用しましょう。

神経疾患やHIV患者は発症しやすい

パーキンソン病などの神経疾患やHIVの方は、下表の理由により、脂漏性皮膚炎を発症しやすいとされています。

病気

脂漏性皮膚炎を発症しやすい理由

パーキンソン病

自律神経の異常により皮脂腺の活動性が変化し、皮脂の分泌が多くなる

HIV

免疫不全により、脂漏性皮膚炎の主な原因であるカビの過剰増殖をきたす

パーキンソン病やHIVにかかっていると、脂漏性皮膚炎を発症しやすいだけでなく、重症化もしやすいという報告もあるため注意が必要です

脂漏性皮膚炎の予防にはカビの増殖防止と生活習慣の改善がカギ

脂漏性皮膚炎は、頭皮に常在するカビの増殖により発症リスクが高まります。カビは皮脂をエサとして増殖するため、生活習慣やシャンプーを見直すことで皮脂の分泌量を減らし、頭皮を清潔に保つことが大切です。また、脂漏性皮膚炎が頭皮に発生すると「脂漏性脱毛症」を発症する場合があります。脂漏性脱毛症は進行性で、病院での治療が必要な病気です。

スカルプDでは、カビが増殖する要因である皮脂汚れをしっかり落とし、毛穴詰まりのない頭皮が目指せるシャンプーを用意しています。脂漏性皮膚炎や脂漏性脱毛症を予防したい方は、ぜひ検討してみてください。