成長期の髪を抜くと出血しやすい
結論から言うと、髪を抜いた後に毛穴から血がにじみ出ても、それで毛が生えなくなることはありません。髪を生やす部分は、皮膚の奥深くにあり、髪を引き抜いた程度で傷ついたり損なわれたりすることはないからです。
ただし、髪を抜いて血が出るという状況は望ましいことではないので、適切な対処をする必要があります。
抜いたら血が出る髪の毛と、出ない髪の毛の違いは、その髪がどんな成長段階にあるか、によります。
ヘアサイクルとは
髪の成長の周期、ヘアサイクルについて先にご説明しましょう。すべての髪の毛は成長期・退行期・休止期の3つの段階いずれかにあります。

引用元:知っておくべき薄毛の悩みとヘアサイクルの関係とは|ヘアメディカル
■ 成長期
ヘアサイクルの中でも最も長期間、約4~6年あると言われています。この期間は常に根元で新しい髪ができ、髪の毛は伸び続けます。
■ 退行期
成長期を終えた髪が休止期に移るまでの期間で、約2~3週間とごく短期間です。
■ 休止期
伸びる活動を完全に停止した髪が頭皮にまだ残っている状態で、2~3か月ほど続きます。髪をブラシや手で触ったとき、寝返りを打って枕と擦れたとき、あるいはシャンプーの際など、ささいな刺激がきっかけで、かんたんに抜け落ちます。
成長期の3段階
最も長期の成長期は、さらに3つの段階に分けられます。
1.早期成長期
毛穴から生え始めたばかりの、細く短い髪です。皮膚内での活動が活発で、頭皮に流れる血液から積極的に酸素や栄養を受け取って成長している段階です。毛根は小さく、皮膚の浅いところにあり、見た目は産毛とほとんど変わりません。
2.中期成長期
毛根がある程度成長して、頭皮に根付いた段階です。細く短く、髪の毛としてはまだ成長途中ですが、頭皮から下の毛根はかなり成長しており、髪を伸ばす準備は整っています。
3.後期成長期
後期成長期は、髪として太く長く成長した状態です。毛根がしっかり根付き、髪は頭皮から外へ向けて成長します。後期成長期が長いほど根が深くなり、髪と血管のつながりも強くなります。
出血の理由は血管の傷
髪を抜く際の出血の話に戻りましょう。
ヘアサイクルが退行期と休止期の髪は、抜こうとするとほぼ抵抗なく、簡単に引き抜けます。一方、成長期の髪は皮膚とのつながりが強いため抜けにくく、抜く際には抵抗を感じます。それでも強く力をかけて髪を引き抜いた場合、皮膚内の細い血管が破れ、内部で少量の出血を起こします。とくに後期成長期の髪は毛根と皮膚との結びつきが強いため、出血量が多くなるおそれもあります。
簡単にまとめると
「最もよく成長している時期の髪の毛は毛根が頭皮にしっかり根付いているため、無理に引き抜くと血管が破れて血が出る」
これが髪の毛を抜いて血が出る原因です。
髪を抜くことで起こる頭皮のトラブルと対処法
出血が原因のトラブル
髪を引き抜いて出血したまま放置すると、そこに細菌が侵入して炎症が起き、痛みを伴う腫れができることがあります。さらに毛嚢炎(もうのうえん)などの細菌感染症になると、皮膚科医の指導のもと治療する必要があります。
出血した時の対処法
出血時の最適な対処法は、消毒や洗浄で患部を清潔に保つことです。傷が治るまでは菌が侵入するリスクがありますから、衛生的に保つことでその後の状態悪化を予防できます。
もし重度の炎症になったら皮膚科を受診して、抗生物質を処方してもらう必要があります。痛い、治りが遅い、見た目の症状が酷くなっていると感じたら、迷わず皮膚科を訪ねてください。
予防方法
一連のトラブルを避けるいちばんの予防策は「髪を無理に抜かないこと」です。もし「気がつくと髪を抜いている」「抜かずにいられない」という状態ならば、問題は深刻です。
毛乳頭から抜いてしまうと・・・ハゲに!?
毛乳頭は、毛根の一番下にあり、毛細血管から大切な栄養を受け取る部分です。通常、髪の毛を抜いても、この毛乳頭から抜けることはありません。しかし、あまりに強く強引に引き抜くと毛乳頭から抜け、ここと繋がっていた毛細血管も切れてしまうため、出血を起こしたり、抜け毛に血がついたりするのです。
毛乳頭は、髪の毛の発毛をつかさどる司令塔のようなもの。栄養を受け取り、髪の毛を伸ばすという役割ももっています。ヘアサイクルがしっかりと働いていれば、通常、髪の毛は40回から60回生まれかわり、生えてくるといわれています。つまり、自然に抜け毛となって落ちれば、ヘアサイクルにより、また新しい毛が生成され伸びてくるわけです。
しかし、一度でも、この毛乳頭ごと髪の毛を抜き取ってしまうと、そこからはもう次の毛は生えてきません。毛乳頭は、復活することがないと考えられていて、一度引き抜いてしまえば、そこで終わってしまうのです。
成長期の毛を、強引に抜くことで、薄毛(ハゲ)を引き起こしてしまうかもしれません。1本、2本ならまだしも、もしこれがクセになっていたら・・・。毎日、何本も抜くクセがついてしまっていたら、1日1本でも1年で365本。大変な数になりますね。
そのうち、強引に毛乳頭ごと抜いてしまっていたら、新しく生えてこない毛穴がたくさんあることになります。
クセで済まず、髪を抜くことに快感を覚えてしまう心の病気もあります。
薄毛やハゲが怖い、なりたくないと感じるのであれば、何が原因で抜いてしまっているのか原因を探ることが大切。
ただ、ヒマな時につい髪の毛を触ってしまい、ふと抜いてしまうクセなのか、それとも抜くことに快感を覚えて頻繁に抜いてしまうのか、中には強迫観念にかられるものもあります。早目に対処するようにしましょう。
つい髪を抜いてしまう人は要注意!

髪を抜くこと(抜毛行為)を心地いいと感じる人がいます。「一日に2、3本抜くことがある」という軽い癖の域ならば、やめるよう意識すれば止められるでしょう。
ただ、「やめるべきだとわかっていても抜かずにいられない」という人は、トリコチロマニア(抜毛症)の可能性があります。
トリコチロマニア(抜毛症)とは
トリコチロマニア(抜毛症)とは、無意識のうちに頻繁に自分の髪や体毛を引き抜いてしまう精神病のひとつです。強迫観念に駆られ、抜毛行為をやめられないという特徴があります。
抜毛行為をしている間は安心感や安堵感を覚えるのですが、外見に影響が出るほど毛を抜いてしまうので、ほとんどの患者はこの症状に苦しんでいます。
抜毛症の原因
抜毛症には未知の領域が多いのですが、分析によっていくつかの傾向がわかっています。
遺伝と生活環境が関係して引き起こされる
遺伝的要因のある人が思春期を境に発症する
長男や長女に多い(社会的立ち位置や家族間での役割の影響が関係する可能性がある)
ただ、これらが本当に発症と因果関係があるのかまでは解明されていません。
抜毛症を治す方法 ハビット・リバーサル法とは
抜毛症は精神的な理由で発症する病です。そのため認知行動療法などで、課題である癖を徐々に改善していく訓練が効果的です。
認知行動療法で抜毛症と向き合う
認知行動療法とは、自分が無意識に行なう癖を認めた上で、問題となる行動(この場合は髪を抜く行動)の修正を目的とする治療法です。抜毛症に対しては認知行動療法のひとつ「ハビット・リバーサル訓練」を主軸に行ないます。
■ 認知訓練
髪・体毛を抜く自分自身の行動に意識を向け、毛を抜くことのサインとなる特徴的な気分や感覚がないかを探します。また、「毛を抜く行動の影響による良い面、悪い面」を紙に書き、客観的に見つめなおすことも自分の癖を認識する上で有効だと考えられています。
■ 対抗反応訓練
「毛を抜きたい」という衝動が起きた際に、それに逆らう行動をとることで衝動に対抗させる訓練です。物を握りしめたり、脇を固く閉じたりといった、毛を抜くことを妨げる動きで、意識的に衝動を抑えられるよう訓練します。
抜け毛症と薬物療法
抜毛症に対して有効な薬物療法は報告されていません。そもそも脳内でどのようなメカニズムで抜毛行為に及ぶのかがわかっていないため、既存の治療薬で改善した患者がいたとしても「この薬の効果で治った」とも断定できないという事情もあります。
「効く薬がわからないため、治すには訓練という行動療法が有効だ」とも言えます。
髪を抜くのはNG!やめられない人は抜毛症を疑おう
髪を無理に抜くと、血管が傷ついて血が出ると菌による炎症を起こすことがあります。抜くと血が出るのは成長中の髪の毛です。出血が原因で頭皮のトラブルが起きると髪の健康な成長の妨げになります。髪を抜く必要がある場面もありませんし、髪を抜くこと自体を控えるのが得策です。
ただ、髪を抜くと気持ちがいい、落ち着くと感じる、抜け毛症という病気もあります。この場合、意識、無意識に関わらず高頻度で毛を抜いてしまうので問題です。心あたりのある人は、心療内科を受診しましょう。


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